代表インタビュー

先人たちが積み重ね継承してきた文化歴史、景観を、どのように「残す」か、そしてどのように「活かす」か。

まちや倶楽部 代表 宮村 利典

16年間にわたり行政の仕事にも携わらせていただきましたなかで、どんどん複雑多様化していく地域の課題に対して、行政と企業や市民等の民間が一緒に積極的に地域の課題に向き合い対応していくことがとても大事になってきていると感じるようになりました。

そんなとき、2012年に、既に廃業して空き家となっていた地元の酒蔵を、私の父が購入し再生をはかろうとしたことをきっかけに、私も一人の県民として何かできないかと思い、その酒蔵建物の再生することで、地域の賑い創出につなげていこうとするプロジェクト「まちや倶楽部」に参加しました。

まちや倶楽部では、既に使われなくなってしまった酒蔵の空間を、まずは地域の方々に知ってもらうため、様々なイベントを実施してきました。その上で、将来的に、酒蔵跡の空間を使った今後の活動の軸となっていくような何かしらの事業を立ち上げて、財政面でバランスを取っていくことができるようなものとすること、そして、この空間の新たな役割を模索し、最終的には、新たな人の流れができて地域の賑わい創出につながるようなものになれば、という願いを込めて、当時全国的にも事例が多くなってきた町家等の宿泊施設や店舗へのリノベーションやコワーキングスペースとして、この空間を活用していくことにしました。

活動をはじめて10年以上が経った現在では、空き家になっていた酒蔵跡も、活動の趣旨に賛同してくださる地元で事業を行う同世代等の事業家の方々との出会いや、地域住民の方々、行政の方々のご支援やご協力、様々な協業、連携した取り組み等を経て、現在では、近江八幡の雰囲気を感じられる独特の空間として、市内外、県外・海外からも、多くの方に訪れていただいています。

先人たちが積み重ねてきた歴史や継承されてきた街の景観は、多くの人を惹きつける魅力を持ちながらも、積極的に保全を図らないことには、容易に損なわれてしまいます。これらを守りながらも、残された社会的財産ともいうべき街の景観や文化歴史などが醸し出す独特の雰囲気を、地域全体で今後どのように「活かす」かを考えることが、常に先行きが不透明で変動が激しくなってきている経済社会においては、ますます重要になってきていると感じています。

また、それは決して行政や地域の当事者の中だけで解決できるような容易な課題ではないと感じています。旧市街地の空き家問題や高齢化など、厳しい現状に対して、自分たちの世代ができることを模索し続けていきたいと思っています